逆転裁判4

なるほどくんが弁護士バッジを失い、
みぬきを養子として迎えてからの1年間の過ごし方は作中で描かれていません。

職を失い、身寄りのない他人の子を引き取り若くして未婚の父となったなるほどくん。
父ザックの逃亡の手助けをして、そのまま孤独になったみぬき。
お互いにぽっかりと穴が開いた状態で寄り添い、生きていくわけですが
楽しい事ももちろんあったと思うけど、それ以上に暗い部分の方が想像できてしまうんです。

急に父となったなるほどくんがみぬきを育てていかなかればならい苦労、というのもあるんですけど
そういう生活の苦労面と、もうお互いがお互いに寄り添える相手が人しかいない事による、
依存関係に陥ってるよねってところです。

バッジを失ったなるほどくんは仕事がないので、
しばらくはみぬきを自分の貯金等で育てながら生活をしなくちゃいけない。
自分1人で全てを背負い切れると良いけれど、実際はみぬきにも頼らざるを得ない。
精神面で傷付いた自分の心を癒してくれる存在もみぬきだけ。

父ザックを失ったみぬきはまだ幼いので1人では生きていけないし、学校もあるし親の存在が必要。
身寄りのないみぬきはなるほどくんしかいない。
なるほどくんに捨てられてしまったらどうなってしまうか…。
バランさんはザックが消えて殺人の疑いがかけられているので、
その状況だと引き取るのは難しかったのでしょうね。

お互いがお互いに自分の居場所・癒しを求めて依存する親子。
またそれとは別の話で、なるほどくんがたびたびみぬきをドライに利用するところもゾクっとします。
ボルハチでのポーカー勝負で、みぬきの力を利用して無敗をキープする状況。
ザックに言われた時は、使えるものは使わないと、と返してました。

現代、オドロキくんの初法廷でみぬきを経由して偽の証拠品を渡し無罪を勝ち取らせた行動。
7年前は、みぬきを経由して自分の手に渡った偽の証拠品でバッジを失いました。
ガリュー兄に、自分がされた事と全く同じことをして復讐するんです。

オドロキくんの口ぶりから、7年前の法廷で偽の証拠品が
人から人の手へ渡ったものだと記録が残っているっぽいですし、
賢いみぬきがどこかのタイミングでその事実を知っていたとしたら……。
なるほどくんはなぜ自分の娘にそんな事をさせるの。みぬきがもし、それを知っていたら。
やり取りはどうであれ、みぬきは冷静にオドロキくんに偽の証拠品を渡しています。

たびたびオドロキくんから、嘘くさい親子と言われます。
その通りですよね。人前ではおままごとのように父と娘を、
演技のようなわざとらしさを交えて楽しんでるんです。

でもそこがいいんです。不自然で歪んでいる義理の親子。
弁護士に戻ったなるほどくんは、5では4以上に娘を溺愛し、心配し、本当の父親のようです。
それはそれで、親バカになったなるほどくんは好きです。
「義理」がいらなくなるくらいの親子になってます。
幸せな、毒が抜けた様子を見るのもいいんですけど、
それでも歪な関係の2人が好きだったりするのです。